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三重苦のマンション [第2章「住むならマンション?一戸建て?」]

前回までの「第1章」では、食料備蓄の量について、目標を「2か月」と決めました。次に定めるべきは備蓄の中身なのですが、その前に考えておきたいことがあります。居住形態についてです。
 
当ブログは首都圏住民を対象にしていますが、特にマンション住民を意識しています。その理由は、自分も含め、首都圏では多くの住民がマンション暮らしをしているからです。
 
一般的に言って、マンションでの備蓄には、一戸建てに比べて以下のような制約があります。

第一に、スペースの制約です。一戸建ては地下室や屋根裏も作れるし、庭があれば小屋や倉庫も置けます。しかし、マンションの場合は、よほどの大型物件でもない限り、備蓄にさける面積は限られてしまいます。増改築は困難です。

第二に、設備面の制約です。マンションの場合は、水道、ガス、電気などのインフラ設備を共用していますので、震災後、周囲のインフラが復活したとしても、マンションの躯(く)体内でインフララインが壊れてしまうと、復旧が遅れます。インフラが回復するまでの期間が長くなれば、その分、備蓄も多目に持つ必要があります。

第三に、エレベーターが止まる制約があります。高層階では特に、震災後には通常の生活が難しくなります。備蓄があったとしても、煮炊き用の燃料や水を運んだりすることができなくなる恐れがあるのです。

当ブログの2回目(http://foodstock.blog.so-net.ne.jp/2011-08-20-1)に記したように、中央防災会議のシミュレーションによると、東京湾北部地震(マグネチュード7.3)で震度 6 弱以上の地震動が予測される市区町村は、東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城各都県で144 市区町村もあります。

震度と被害の関係を示す「気象庁震度階級関連解説表」によると、震度6弱は、鉄筋コンクリートの建造物であっても、「耐震性の低い建物では、壁や柱が破壊するものがある。耐震性が高い建物でも、壁、梁(はり)、柱などに大きな亀裂が生じるものがある」という被害が出ます。マンションの耐震性が高くても、一定の被害は覚悟するべきなのです。

中高層住宅(マンションなど)への影響について、東京都の被害想定は、以下のように言及しています。当該部分を抜粋します。

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・中高層住宅では、地震によりエレベーターの停止や断水など生活に支障が生じて生活することができなくなり、中高層住宅の住民は避難せざるを得ない。

・古い中層住宅では高置水槽が多いことから、これが被害を受けたときは断水となり、水道が復旧するまでには時間がかかる。

・震度6弱以上において、新耐震基準によるく体への影響の可能性は低いが、旧耐震基準の建物においては、く体に損傷が生じる可能性がある。く体に歪みが生じると、玄関ドアなどの変形により住民が拘束されるおそれがある
 
・中高層住宅のほとんどは、エレベーターの地震時管制運転装置が設置されており、この装置によりほとんどのエレベーターが最寄の階にドアを開放して停止する。その際には、保守点検要員などによる復旧作業が必要となる。また、ドア開放検知による安全装置の作動や機器そのものの破損などによって停止し閉じ込めの可能性もある

・受水槽が揺れによって損傷を受ける可能性があり、その場合には飲料水の確保だけでなく、トイレなどその排水処理も困難となる

・用途の中で我慢の可能な洗濯や風呂と比べ、トイレは比較的使用頻度が高い。このため、トイレのため遠距離まで移動することは、特に高層階の住民や高齢者にとっては大きな負担となる。また、飲料水の確保のために給水拠点まで行くことも大きな負担となる。

・実際に阪神・淡路大震災におけるマンション住民の避難した理由として最も多いのは、水道の不便によるものであった。

・エレベーターの一定期間の停止は、上記(ア)と同様に中高層住宅の住民にとって大きな負担となることが想定される。階数の低い中層住宅の住民に比べて、高層住宅の住民の方が外出に大きな支障が生じる。
 
++++++++++++++

引用した文書の中に、「旧耐震基準」と「新耐震基準」という用語がでてきました。
このうち、「旧基準」とは、1981 年6 月の耐震基準改定以前の基準を言います。旧基準に準拠して建設されたのが「旧耐震基準マンション」です。
基準改定後に建設されていれば、「新耐震基準マンション」と呼ばれます。
 
不動産情報サービスの東京カンテイの資料(http://www.kantei.ne.jp/release/PDFs/57TRhisai-syuto.pdf)によると、阪神・淡路大震災に直撃されたマンション3096棟を分析した結果、新基準が適用された1981年以降の物件では中破以上が2.1%にとどまったのに対し、新基準以前の物件は4.9%と倍以上に達していました。以下、参照です。

大破 中破 小破 軽微 損傷なし 合計
新基準前 35 26 86 413 677 1237
新基準(1981年以降) 10 29 124 738 958 1859

 

大破 中破 小破 軽微 損傷なし 合計
新基準前 2.8% 2.1% 7.0% 33.4% 54.7% 100.0%
新基準(1981年以降) 0.5% 1.6% 6.7% 39.7% 51.5% 100.0%

 

古いマンションと高層階の住民は特に、注意が必要だと思います。


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