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第4章「厚労省の食事摂取基準を読む」 ブログトップ

必要なビタミン、ミネラルの量は [第4章「厚労省の食事摂取基準を読む」]

次にビタミン、ミネラル類の必要備蓄量を「日本人の食事摂取基準」から求めます。30~49歳の成人を基準にします。逐一、紹介するのも煩雑なので、1日当たりの基準を表にまとめました。

男女の平均値を必要備蓄量に定めたいと思います。鉄を除けば、男性の量が女性を上回っています。

なお、平均推定必要量、推奨量、目安量と3つの概念が出ていますが、目安量>推奨量>平均必要量という関係になります。ただし、目安量は科学的根拠に乏しい場合に使われているようです。

  男性(30~49歳) 女性(30~49歳) 平均値 備考
ビタミン
ビタミンA 550~600 µgRE 450~500 µgRE 500~550ugRE 推奨量
ビタミンB1 1.4 mg 1.1mg 1.25mg 推奨量
ビタミンB12 2.4 µg 2.4 µg 2.4 µg 推奨量
ビタミンB2 1.6mg 1.2mg 1.4mg 推奨量
ビタミンB6 1.4mg 1.1mg 1.25mg 推奨量
ビタミンC 100mg 100mg 100mg 推奨量
ビタミンD 5. 5 µg 5. 5 µg 5. 5 µg 目安量
ビタミンE 7. 0 mg 6. 5mg 6.75mg 目安量
ビタミンK 75 µg 65 µg 70ug 目安量
葉酸 240ug 240ug 240ug 推奨量
ナイアシン 15mg 12mg 13.5mg 推奨量
パントテン酸 5mg 5mg 5mg 目安量
ビオチン 50ug 50ug 50ug 目安量
ミネラル
ナトリウム 1.5g 1.5g 1.5g 推定平均必要量
カリウム 3000mg 3000mg 3000mg 目安量
カルシウム 650mg 650mg 650mg 推奨量
マグネシウム 370mg 290mg 330mg 推奨量
リン 1000mg 900mg 950mg 目安量
7.5mg 11.0mg 9.25mg 推奨量
亜鉛 12mg 9mg 10.5mg 推奨量
0.9mg 0.7mg 0.8mg 推奨量
マンガン 4mg 3.5mg 3.75mg 目安量
ヨウ素 130mg 130mg 130mg 推奨量
セレン 30ug 25ug 27.5ug 推奨量
クロム 40ug 30ug 35ug 推奨量
モリブデン 30ug 25ug 27.5ug 推奨量

 

これで第4章は終了です。次回から、これらの基準を満たす食品の組み合わせを考えていきます。


必要な炭水化物の量は [第4章「厚労省の食事摂取基準を読む」]

次に炭水化物です。考え方は脂質と同様で、摂取カロリー(エネルギー)に占める割合を目標においています。

厚労省の「食事摂取基準」によると、炭水化物の必要量は、たんぱく質と脂質からの目標エネルギー量を、必要エネルギー量から差し引いて計算します。つまり、たんぱく質と脂質の目標が決まれば、炭水化物の必要量も決まってしまうということです。以下、摂取基準から。

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炭水化物の食事摂取基準(%エネルギー)1

性 別 男 性 女 性
年 齢 目標量(範囲) 目標量(範囲)
0~5(月)
6~11(月)
1~2(歳) 50以上70未満 50以上70未満
3~5(歳) 50以上70未満 50以上70未満
6~7(歳) 50以上70未満 50以上70未満
8~9(歳) 50以上70未満 50以上70未満
10~11(歳) 50以上70未満 50以上70未満
12~14(歳) 50以上70未満 50以上70未満
15~17(歳) 50以上70未満 50以上70未満
18~29(歳) 50以上70未満 50以上70未満
30~49(歳) 50以上70未満 50以上70未満
50~69(歳) 50以上70未満 50以上70未満
70以上(歳) 50以上70未満 50以上70未満

1 アルコールに由来するエネルギーを含む。

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当ブログが定めた備蓄の必要カロリー量は1日1人当たり1800~2000kcalですから、炭水化物からの望ましいエネルギー量は900kcal~1400kcalとなります。

前回のブログで紹介したアトウォーター係数では、炭水化物1gは4kcalです。割り戻すと換算重量は1日1人当たり225~350gとなります。ずいぶんと幅がありますが、あくまで目安なので、真ん中を取って290gを目標に置くことにします。

また、炭水化物に関連しては、食物繊維の一日目標摂取量も定めています。男性が19g以上、女性が17g以上ですので、当ブログの目標は19gとします。


必要な脂質の量とは [第4章「厚労省の食事摂取基準を読む」]

脂質はたんぱく質とはちょっと事情が違います。厚労省の「日本人の食事摂取基準」には次のように記されています。

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策定上の特徴

各脂質の推定平均必要量、推奨量、耐容上限量を算定できるだけの科学的根拠がないので、目安量と目標量を設定する。
三大栄養素(脂質、炭水化物、たんぱく質)の主要な役割は、細胞へのエネルギー供給にある。
体重、運動量が変化しない場合、食事摂取量はほぼ一定の範囲内に入っているので、脂質摂取量が増加(または減少)すると、炭水化物の摂取量は減少(または増加)する。したがって、脂質の食摂取基準は、炭水化物やたんぱく質の摂取量を考慮に入れて設定する必要がある。このため、脂
質の食事摂取基準は、総エネルギー摂取量に占める割合、すなわちエネルギー比率(%エネルギー:%E)で示した。

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脂質も炭水化物もたんぱく質も、それぞれカロリー源になるので、そのバランスが大切ということなのでしょう。脂質に関しては、絶対量での基準はないのです。以下が「摂取基準」による年齢別、性別の表です。

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脂質の食事摂取基準(脂質の総エネルギーに占める割合)

 

性 別 男 性 女 性
年 齢 目安量 目標量(範囲) 目安量 目標量(範囲)
0~5(月) 50 50
6~11(月) 40 40
1~2(歳) 20以上30未満 20以上30未満
3~5(歳) 20以上30未満 20以上30未満
6~7(歳) 20以上30未満 20以上30未満
8~9(歳) 20以上30未満 20以上30未満
10~11(歳) 20以上30未満 20以上30未満
12~14(歳) 20以上30未満 20以上30未満
15~17(歳) 20以上30未満 20以上30未満
18~29(歳) 20以上30未満 20以上30未満
30~49(歳) 20以上25未満 20以上25未満
50~69(歳) 20以上25未満 20以上25未満
70以上(歳) 20以上25未満 20以上25未満

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要は乳児でない限り、摂取カロリーの20~30%を脂質で取ればいいということです。

当ブログでは1日1人当たりの備蓄カロリー量を1800~2000kcalと決めましたので、ここから逆算すると、摂取すべき脂質量は360kcal~600kcalということになります。

栄養素のカロリー換算については、アトウォーター係数というのが知られていて、食品の栄養分に関するバイブルとでもいうべき、「日本食品標準成分表」でも使われています。(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu3/toushin/05031802/001/002/003.pdf

それによると、1gの脂質の換算カロリー量は9kcalです。先程の摂取すべき脂質量を9で割り戻すと、40g~67gとなります。

これはかなり幅のある数字ですが、もともとが目安に過ぎないので、それほど神経質になる必要はありません。当ブログとしての備蓄量は、間をとって1人1日50gとすることにします。

 


必要なたんぱく質の量とは [第4章「厚労省の食事摂取基準を読む」]

たんぱく質の必要量は、カロリーに比べると単純です。厚労省の食事摂取基準では、1人当たり1日の望ましい量を以下のように定めています。

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たんぱく質の食事摂取基準(g/日)

性 別 男 性 女 性
推定平均   推定平均   
年 齢 必要量 推奨量 目安量 必要量 推奨量 目安量
0~5(月) 10 10
6~8(月) 15 15
9~11(月) 25 25
1~2(歳) 15 20 15 20
3~5(歳) 20 25 20 25
6~7(歳) 25 30 25 30
8~9(歳) 30 40 30 40
10~11(歳) 40 45 35 45
12~14(歳) 45 60 45 55
15~17(歳) 50 60 45 55
18~29(歳) 50 60 40 50
30~49(歳) 50 60 40 50
50~69(歳) 50 60 40 50
70以上(歳) 50 60 40 50

 

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筆者の家族構成では、男の必要量が50g、推奨量が60g、女の必要量が45gまたは40g、推奨量が55または50gです。当ブログの趣旨からいえば、必要量が満たされればいいわけですから、50gあれば事足ります。


栄養の必要最低限とは(「日本人の食事摂取基準」より) [第4章「厚労省の食事摂取基準を読む」]

カロリーの次に考えなければいけないのは、栄養素です。

農水省の備蓄ガイドで推奨されているメニューは、見てきたとおり、バラエティに飛んでいて栄養素にも配慮された内容となっています。バランスよく様々な食品を備蓄するという考えに立っています。

しかし、「家族2か月分を最低の量で賄う」という当ブログの目標のためには、食料の多様性は犠牲にせざるを得ません。多種多様な缶詰、レトルト食品、乾物などを大量に買い込んで貯めこんでおくコストとスペースは、普通の家庭にはありません。栄養のバランスをとれる最小限の食品の組み合わせを見つけ出さなければなりません。

そこで、まずは必要な栄養素の量を探りたいと思います。

厚生労働省が2009年5月に公表した「日本人の食事摂取基準」(2010年版)http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/s0529-4.htmlは、「健康な個人または集団を対象として、国民の健康の維持・増進、生活習慣病の予防を目的とし、エネルギー及び各栄養素の摂取量の基準を示す」ために作られました。5年置きに更新されていて、今回の基準は「2010年度から2014年度まで」が「使用期間」とされています。

この食料摂取基準は非常に詳しくて、エネルギーや栄養素などの摂取必要量が、性別、年齢などの項目ごとに数値化されています。例えば、カロリーの項目では、必要量が以下のような表にまとめられています。

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エネルギーの食事摂取基準:推定エネルギー必要量(kcal/日)1

「日本人の食事摂取基準」(2010年版)

性 別 男 性 女 性
身体活動レベル
0~5(月) 550 500
6~8(月) 650 600
9~11(月) 700 650
1~2(歳) 1,000 900
3~5(歳) 1,300 1,250
6~7(歳) 1,350 1,550 1,700 1,250 1,450 1,650
8~9(歳) 1,600 1,800 2,050 1,500 1,700 1,900
10~11(歳) 1,950 2,250 2,500 1,750 2,000 2,250
12~14(歳) 2,200 2,500 2,750 2,000 2,250 2,550
15~17(歳) 2,450 2,750 3,100 2,000 2,250 2,500
18~29(歳) 2,250 2,650 3,000 1,700 1,950 2,250
30~49(歳) 2,300 2,650 3,050 1,750 2,000 2,300
50~69(歳) 2,100 2,450 2,800 1,650 1,950 2,200
70以上(歳)21,850 2,200 2,500 1,450 1,700 2,000

1 成人では、推定エネルギー必要量=基礎代謝量(kcal/日)×身体活動レベルとして算定した。18~69 歳では、身体活動レベルはそれぞれⅠ=1. 50、Ⅱ=1. 75、Ⅲ=2. 00 としたが、70 歳以上では、それぞれⅠ=1. 45、Ⅱ=1. 70、Ⅲ=1. 95 とした。

2 主として、70~75 歳ならびに自由な生活を営んでいる対象者に基づく報告から算定した。

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本日現在の筆者の家族構成は30-49歳の男女(夫婦)と15-17歳の男女(子供)の4人です。2か月という長期の備蓄は、自宅に籠城してじっとしているパンデミックケースを想定していますから、身体活動レベルは「Ⅰ」が適当です。すると、合計の必要カロリーは「2300+1750+2450+2000=8500」です。一人当たり一日約2100キロカロリーが目安となります。

この表を詳しく見ていただくとわかるのですが、筆者の家族構成は子供のいる家族としては、カロリー量が最大値となる組み合わせです。なぜなら、男女とも、15-17歳、30-49歳の順に必要カロリーが多いからです。18-29歳のころ、必要カロリーは一度落ち込むのです。

あと2年以内に筆者の家族は4人全員が、それぞれ次の年齢層に移ります。そうなると、必要量は「2100+1650+2250+1700=7700」で、一人当たりでは約1900キロカロリーまで低下します。子供たちはさらにその次の年齢層の間に独立したり結婚したりするでしょうから、そうなれば、夫婦だけのことを考えればよくなり、必要カロリー量はもっと減ります。

前回のブログで必要カロリーは1800~2000キロカロリーと記しましたが、厚労省のデータからもこれが裏付けられたと思っています。

次回以降、 たんぱく質、脂質、炭水化物、カリウム、カルシウム、マグネシウム・・・・・などの順に、必要量を調べていきます。


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