熱源確保のベストソリューション [第6章「ライフライン確保の研究」]
最悪の首都直下地震が起きた場合、供給がストップし兼ねないのは水道だけではありません。電気、ガスも一定期間は使えないと覚悟しないといけません。
中央防災会議の最新の想定 は、首都中枢機能への影響が大きいと考えられる「都心南部直下地震」のケースで、被災直後から東京電力管内の半分が停電すると想定されています。
火力発電所の復旧は時間がかかるため、被災1週間でも、なお半数が停電しています。1か月後には9割が復旧する想定ですが、東京電力管内の人口の多さを考えたら、途方もない数の人が電力を使えません。
都市ガスはどうでしょうか。中央防災会議の想定では、耐震性が高いガス管を使っている大口需要家(工場など)では基本的に供給が継続されますが、一般家庭で使用されている低圧のガスに関しては、安全装置が働いて供給がストップします。その割合は、東京都で発災初日に3割、1週間後に2割、1か月後にも1割と見積もられています。
住む場所が「はずれ」だと、電力もガスも被災から1か月たっても復旧しないのです。しかもそれぞれの想定には、【更に厳しい被害様相】という追記があり、道路や通信の寸断、復旧に当たる職員自身の被災、同程度の余震の発生などがあれば、もっと状況は悪化すると書いてあります。
水は宅配や川から汲み上げてなんとかできても、熱源がないと炊事ができません。お茶も飲めません。川の水を蒸留したくてもかないません。電力もガスもストップしたとき、どうやって熱源を用意するのでしょうか。
一つはキャンプ場でのように、枯葉や枯れ木を燃やすことです。都心で裸火、野火の類は問題が多いので、色々と調べてウッドガスストーブというのを自作しました。
ウッドガスストーブの原理はここをクリック 。自作したい人は、このあたりを参考にどうぞ。
仕組みは以下の通りです。
大きな缶(外缶)の中に小さな缶(内缶)を収めています。内缶に燃料(枯れ木、枯草)を入れて上から火をつけると白い木質ガスが発生し、底面や側面に開いた穴から外缶に向かって流れ出ます。外缶と内缶の間に充満したガスは上昇し、内缶の上部に開けた小穴を通って、再び内缶の上部に噴き出します。内缶で燃えている燃料の火が今度は噴き出したガスに着火し、ガスが燃え始めます。
白い煙を火元にもう一度還流することで、完全燃焼させるという理屈です。
幸いミルク缶が入手しやすい環境だったため複数個作って実験しましたが、そうは言っても十分に温度が上がるまでは煙も煤もでます。火力も不安定で、消えるときにも煙がでます。灰も残るしタール分だってどうしても出てしまう。
ベランダがぎりぎりで、屋内ではとても使えません。停電して換気ができなかったりすればなおさらですね。
念のため、強制給気付きの既存製品も買いましたが、やはり屋内は無理です。
そこで考え直したところ、最終的なソリューションとして、カセットコンロとカセットボンベに行きつきました。考え直す必要もなく、最初からわかれよと自分でも思いましたが(笑)
とはいえ、どの程度の備蓄が必要かを計算しなければいけません。
被災時にはなるべく効率よくガスを使わなければいけません。熱効率がいいのは圧力鍋ですね。そこで約600gの大豆を煮るのにガスがどのくらい必要かを実験します。
約600gの大豆を煮るのに、24gほどのガスを使うことがわかりました。米3号も炊いてみましたが、同じくらいのガス消費量でした。
ボンベ一本当たり、ガスは250g入っているので、1缶あれば米3号を10回炊けます。1号当たり2膳と考えると、1本で炊ける米は60食=20日分となります。家族4人なら5日分ですね。
カセットボンベは48本入りが安いし、まず使えなくなったりしないので、大量に持っていても損はありません。私は思い切って48本入りを備蓄しています。普段も使えるので、無駄遣い感もありません。
水確保はウォーターサーバ併用で [第6章「ライフライン確保の研究」]
水確保策を考える [第6章「ライフライン確保の研究」]
http://www.nohma.net/masachan-pump5.html#anchor2010