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必要な炭水化物の量は [第4章「厚労省の食事摂取基準を読む」]

次に炭水化物です。考え方は脂質と同様で、摂取カロリー(エネルギー)に占める割合を目標においています。

厚労省の「食事摂取基準」によると、炭水化物の必要量は、たんぱく質と脂質からの目標エネルギー量を、必要エネルギー量から差し引いて計算します。つまり、たんぱく質と脂質の目標が決まれば、炭水化物の必要量も決まってしまうということです。以下、摂取基準から。

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炭水化物の食事摂取基準(%エネルギー)1

性 別 男 性 女 性
年 齢 目標量(範囲) 目標量(範囲)
0~5(月)
6~11(月)
1~2(歳) 50以上70未満 50以上70未満
3~5(歳) 50以上70未満 50以上70未満
6~7(歳) 50以上70未満 50以上70未満
8~9(歳) 50以上70未満 50以上70未満
10~11(歳) 50以上70未満 50以上70未満
12~14(歳) 50以上70未満 50以上70未満
15~17(歳) 50以上70未満 50以上70未満
18~29(歳) 50以上70未満 50以上70未満
30~49(歳) 50以上70未満 50以上70未満
50~69(歳) 50以上70未満 50以上70未満
70以上(歳) 50以上70未満 50以上70未満

1 アルコールに由来するエネルギーを含む。

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当ブログが定めた備蓄の必要カロリー量は1日1人当たり1800~2000kcalですから、炭水化物からの望ましいエネルギー量は900kcal~1400kcalとなります。

前回のブログで紹介したアトウォーター係数では、炭水化物1gは4kcalです。割り戻すと換算重量は1日1人当たり225~350gとなります。ずいぶんと幅がありますが、あくまで目安なので、真ん中を取って290gを目標に置くことにします。

また、炭水化物に関連しては、食物繊維の一日目標摂取量も定めています。男性が19g以上、女性が17g以上ですので、当ブログの目標は19gとします。


必要な脂質の量とは [第4章「厚労省の食事摂取基準を読む」]

脂質はたんぱく質とはちょっと事情が違います。厚労省の「日本人の食事摂取基準」には次のように記されています。

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策定上の特徴

各脂質の推定平均必要量、推奨量、耐容上限量を算定できるだけの科学的根拠がないので、目安量と目標量を設定する。
三大栄養素(脂質、炭水化物、たんぱく質)の主要な役割は、細胞へのエネルギー供給にある。
体重、運動量が変化しない場合、食事摂取量はほぼ一定の範囲内に入っているので、脂質摂取量が増加(または減少)すると、炭水化物の摂取量は減少(または増加)する。したがって、脂質の食摂取基準は、炭水化物やたんぱく質の摂取量を考慮に入れて設定する必要がある。このため、脂
質の食事摂取基準は、総エネルギー摂取量に占める割合、すなわちエネルギー比率(%エネルギー:%E)で示した。

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脂質も炭水化物もたんぱく質も、それぞれカロリー源になるので、そのバランスが大切ということなのでしょう。脂質に関しては、絶対量での基準はないのです。以下が「摂取基準」による年齢別、性別の表です。

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脂質の食事摂取基準(脂質の総エネルギーに占める割合)

 

性 別 男 性 女 性
年 齢 目安量 目標量(範囲) 目安量 目標量(範囲)
0~5(月) 50 50
6~11(月) 40 40
1~2(歳) 20以上30未満 20以上30未満
3~5(歳) 20以上30未満 20以上30未満
6~7(歳) 20以上30未満 20以上30未満
8~9(歳) 20以上30未満 20以上30未満
10~11(歳) 20以上30未満 20以上30未満
12~14(歳) 20以上30未満 20以上30未満
15~17(歳) 20以上30未満 20以上30未満
18~29(歳) 20以上30未満 20以上30未満
30~49(歳) 20以上25未満 20以上25未満
50~69(歳) 20以上25未満 20以上25未満
70以上(歳) 20以上25未満 20以上25未満

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要は乳児でない限り、摂取カロリーの20~30%を脂質で取ればいいということです。

当ブログでは1日1人当たりの備蓄カロリー量を1800~2000kcalと決めましたので、ここから逆算すると、摂取すべき脂質量は360kcal~600kcalということになります。

栄養素のカロリー換算については、アトウォーター係数というのが知られていて、食品の栄養分に関するバイブルとでもいうべき、「日本食品標準成分表」でも使われています。(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu3/toushin/05031802/001/002/003.pdf

それによると、1gの脂質の換算カロリー量は9kcalです。先程の摂取すべき脂質量を9で割り戻すと、40g~67gとなります。

これはかなり幅のある数字ですが、もともとが目安に過ぎないので、それほど神経質になる必要はありません。当ブログとしての備蓄量は、間をとって1人1日50gとすることにします。

 


必要なたんぱく質の量とは [第4章「厚労省の食事摂取基準を読む」]

たんぱく質の必要量は、カロリーに比べると単純です。厚労省の食事摂取基準では、1人当たり1日の望ましい量を以下のように定めています。

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たんぱく質の食事摂取基準(g/日)

性 別 男 性 女 性
推定平均   推定平均   
年 齢 必要量 推奨量 目安量 必要量 推奨量 目安量
0~5(月) 10 10
6~8(月) 15 15
9~11(月) 25 25
1~2(歳) 15 20 15 20
3~5(歳) 20 25 20 25
6~7(歳) 25 30 25 30
8~9(歳) 30 40 30 40
10~11(歳) 40 45 35 45
12~14(歳) 45 60 45 55
15~17(歳) 50 60 45 55
18~29(歳) 50 60 40 50
30~49(歳) 50 60 40 50
50~69(歳) 50 60 40 50
70以上(歳) 50 60 40 50

 

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筆者の家族構成では、男の必要量が50g、推奨量が60g、女の必要量が45gまたは40g、推奨量が55または50gです。当ブログの趣旨からいえば、必要量が満たされればいいわけですから、50gあれば事足ります。


栄養の必要最低限とは(「日本人の食事摂取基準」より) [第4章「厚労省の食事摂取基準を読む」]

カロリーの次に考えなければいけないのは、栄養素です。

農水省の備蓄ガイドで推奨されているメニューは、見てきたとおり、バラエティに飛んでいて栄養素にも配慮された内容となっています。バランスよく様々な食品を備蓄するという考えに立っています。

しかし、「家族2か月分を最低の量で賄う」という当ブログの目標のためには、食料の多様性は犠牲にせざるを得ません。多種多様な缶詰、レトルト食品、乾物などを大量に買い込んで貯めこんでおくコストとスペースは、普通の家庭にはありません。栄養のバランスをとれる最小限の食品の組み合わせを見つけ出さなければなりません。

そこで、まずは必要な栄養素の量を探りたいと思います。

厚生労働省が2009年5月に公表した「日本人の食事摂取基準」(2010年版)http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/s0529-4.htmlは、「健康な個人または集団を対象として、国民の健康の維持・増進、生活習慣病の予防を目的とし、エネルギー及び各栄養素の摂取量の基準を示す」ために作られました。5年置きに更新されていて、今回の基準は「2010年度から2014年度まで」が「使用期間」とされています。

この食料摂取基準は非常に詳しくて、エネルギーや栄養素などの摂取必要量が、性別、年齢などの項目ごとに数値化されています。例えば、カロリーの項目では、必要量が以下のような表にまとめられています。

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エネルギーの食事摂取基準:推定エネルギー必要量(kcal/日)1

「日本人の食事摂取基準」(2010年版)

性 別 男 性 女 性
身体活動レベル
0~5(月) 550 500
6~8(月) 650 600
9~11(月) 700 650
1~2(歳) 1,000 900
3~5(歳) 1,300 1,250
6~7(歳) 1,350 1,550 1,700 1,250 1,450 1,650
8~9(歳) 1,600 1,800 2,050 1,500 1,700 1,900
10~11(歳) 1,950 2,250 2,500 1,750 2,000 2,250
12~14(歳) 2,200 2,500 2,750 2,000 2,250 2,550
15~17(歳) 2,450 2,750 3,100 2,000 2,250 2,500
18~29(歳) 2,250 2,650 3,000 1,700 1,950 2,250
30~49(歳) 2,300 2,650 3,050 1,750 2,000 2,300
50~69(歳) 2,100 2,450 2,800 1,650 1,950 2,200
70以上(歳)21,850 2,200 2,500 1,450 1,700 2,000

1 成人では、推定エネルギー必要量=基礎代謝量(kcal/日)×身体活動レベルとして算定した。18~69 歳では、身体活動レベルはそれぞれⅠ=1. 50、Ⅱ=1. 75、Ⅲ=2. 00 としたが、70 歳以上では、それぞれⅠ=1. 45、Ⅱ=1. 70、Ⅲ=1. 95 とした。

2 主として、70~75 歳ならびに自由な生活を営んでいる対象者に基づく報告から算定した。

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本日現在の筆者の家族構成は30-49歳の男女(夫婦)と15-17歳の男女(子供)の4人です。2か月という長期の備蓄は、自宅に籠城してじっとしているパンデミックケースを想定していますから、身体活動レベルは「Ⅰ」が適当です。すると、合計の必要カロリーは「2300+1750+2450+2000=8500」です。一人当たり一日約2100キロカロリーが目安となります。

この表を詳しく見ていただくとわかるのですが、筆者の家族構成は子供のいる家族としては、カロリー量が最大値となる組み合わせです。なぜなら、男女とも、15-17歳、30-49歳の順に必要カロリーが多いからです。18-29歳のころ、必要カロリーは一度落ち込むのです。

あと2年以内に筆者の家族は4人全員が、それぞれ次の年齢層に移ります。そうなると、必要量は「2100+1650+2250+1700=7700」で、一人当たりでは約1900キロカロリーまで低下します。子供たちはさらにその次の年齢層の間に独立したり結婚したりするでしょうから、そうなれば、夫婦だけのことを考えればよくなり、必要カロリー量はもっと減ります。

前回のブログで必要カロリーは1800~2000キロカロリーと記しましたが、厚労省のデータからもこれが裏付けられたと思っています。

次回以降、 たんぱく質、脂質、炭水化物、カリウム、カルシウム、マグネシウム・・・・・などの順に、必要量を調べていきます。


必要カロリーは1800〜2000kcal [第3章「農水省備蓄ガイドを読む」]

農水省の備蓄ガイドには、実践例として献立表も掲載されています。それを見ると、備蓄を怠りなくしておけば、パンデミックのような危急の時であっても、大変に豊かな食生活を維持できることがわかります。以下がその部分です。

 献立1.jpg

献立2.jpg

 献立3.jpg

これで1週間分のメニューです。通常時とどこが変わるのっていいたくなるくらい、普通の食卓です。

しかし、2か月の備蓄を目指す場合、ここまで立派なメニューは想定できません。2か月約8週間となれば、この表のメニューが8回できるだけの備蓄が必要です。余程の大きな家でもない限り、そんな大量の備蓄は現実的ではないからです。

当ブログが目指しているのは、最小限のスペースで、最大限の効果を生む備蓄です。そのためには、品目を極限まで絞り込む必要があると思います。

この場合、まず考えなければいけないのは、カロリー量です。タンパク質だとかビタミンが不足してもすぐには影響が出ませんが、カロリーが不足すると、直ちに活動のレベルが下がってしまいます。

農水省の備蓄ガイドも、カロリー量に触れています。以下、引用します。

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<このガイドでの エネルギー補給の考え方>

このガイドでは、下のチャートを基に平均的なエネルギー量を2,000kcal として備蓄量を算出しています。

●新型インフルエンザが流行している際は、外出を控えることとなり、活動量は少なくなりますので、必要するエネルギー量を少なめに設定しています。
●新型インフルエンザが流行している間は、どのような食事がとれるか十分予測することができません。このため、備蓄食料品リストでは食事バランスを重視して栄養が過不足にならないよう配慮しています。
●ただし、生鮮食料品は長期保存には不向きなものが多いため、それらによるエネルギー量の不足分は主食、にお米で補っています。
●備蓄食料品リストはあくまでも目安です。ご家族の年齢、体格、活動量、食欲などを考慮して、適宜調節ることが大切です。

 カロリー表.jpg

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上の図にあるように、パンデミックの際には自宅にこもっていますから、一日中座っていることがほとんどとなります。この場合、70歳未満の成人男子で1日当たり2000〜2400キロカロリー、同じく女子で1600〜2000キロカロリーが必要となる計算です。男女2人ずつの家族構成ですと、平均でちょうど2000キロカロリーとなるわけです。

ただし、筆者はこの2000キロカロリーは少し多すぎなのではと思っています。

日本医師会のホームページ(http://www.med.or.jp/forest/health/eat/01.html)では、身長から適正体重と必要なカロリー量を計算できますが、仕事が一般事務などの「軽度の活動」の場合は身長180センチで1782〜2138キロカロリー、身長170センチで1589〜1907キロカロリーが適正範囲です。

家族構成に合わせて計算してもらえば一番いいわけですが、2か月の摂取カロリーとしては、平均的には1日1800キロカロリーくらいでも大丈夫なのではないかと思います。実際、品川区が区民向けに作ったパンデミック対応の備蓄ガイドでは、一食当たりのカロリーは1800キロカロリー程度のメニューが例示されています。

なお、大震災の場合は、パンデミックと異なり、身体の活動レベルは平常時よりもあがると考えられます。部屋の片付け、倒壊物など危険物の撤去、水の調達、燃料の調達、瓦礫やゴミの処理などを、自力でやる必要に迫られます。マンションの場合は、エレベーターがストップしますから、自宅のある階まで何度も重い荷物を持って往復するハメになります。

しかし、当ブログでは、震災対応の備蓄は1か月を想定しています。2か月分の備蓄があれば、カロリー量は1日2000キロカロリーをはるかに超える量が確保されていることになります。

震災とパンデミックが立て続けに起きたら?その時は潔く、なるようになるさと諦めましょう(笑)

なお、前回、農水省の備蓄ガイドを画像で貼りつけましたが、読みづらかったと思うので、改めて表にまとめておきます。たまたまWikiにあったので、それを加工しています。

まったく同じものとは思いますが、すべて照合したわけではないので、あしからず。オリジナルは前回の画像のものですので、気になる方はそちらを見てください。

品名

2週間分の数量(両親、男の子、女の子の4人家族の場合)

注意事項
米、餅(切り餅)、乾めん類(うどん、そば、そうめん、ラーメン、パスタ等)、コーンフレーク、シリアル類、乾パン、インスタントラーメン、即席めん、パン 米または餅は少なくとも10kg。他は1日1食分 バラエティに富んだ食事であきない工夫を。長期間保存可能
野菜類(たまねぎ、じゃがいも、ごぼう、さつまいもなど) 各1~2kg ビタミン、ミネラルの補充。長期間保存可能
豆類(あずき、大豆など) 適宜  
10個  
缶詰(魚介類、肉類) 30缶 普段から大目に買い置きを
缶詰(野菜・きのこ類:コーン、トマト、たけのこ、マッシュルーム等) 20缶 普段から大目に買い置きを
レトルト食品(カレー、パスタソース、ハンバーグ等) 30食 普段から大目に買い置きを
乾燥食品(切干大根、しいたけ、高野豆腐、ひじき、わかめ、こんぶ等) 各2袋 普段から大目に買い置きを
フリーズドライ食品   普段から大目に買い置きを
スープ類(みそ汁、わかめスープ、コーンポタージュ等) 12食 普段から大目に買い置きを
冷凍食品(市販品の他、家庭で冷凍した魚介、肉、野菜、料理等を含む) 500g入り10袋 家庭での保存温度と停電に注意
乳製品(チーズ、ヨーグルト、スキムミルクなど) 各1~2箱  
缶詰(果物類:もも、みかん、パイナップル、みつ豆等) 10缶 普段から大目に買い置きを
調味料(塩、砂糖、食用油、醤油、味噌など) 1kgあるいは1リットル 未開封なら長期保存可
調味料(酢、だしの素、コンソメ、バターなど) 適宜 未開封なら長期保存可
嗜好飲料(緑茶、コーヒー、紅茶、ココア等) 適宜 ストレス解消に有効
菓子類 適宜 ストレス解消に有効
その他(ふりかけ、のり佃煮、ジャム、マーガリン、はちみつ等) 適宜  
育児用調製粉乳などの乳幼児用の食料   水の確保も忘れずに
ペットボトルや缶入りのミネラルウォーター、飲料    

 


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