身構える時間はある [第1章「なぜ2か月なのか」]
政府が平成 21 年 2 月17 日にまとめた「新型インフルエンザ対策ガイドライン」には、新型インフルエンザが発生した場合に社会や経済がどうなってしまうかのシミュレーションが記されています。これから数回にわけて、解説してみます。まずはインフルエンザの被害概要です。
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新型インフルエンザによる人的被害
発症率 | 25%(「新型インフルエンザ対策行動計画」による) |
致死率 | 0.5%~2.0% |
欠勤率 | 20~40% ・最大40%程度の欠勤率 ・業種・地域により流行のピークに差がある (被害想定作成上の1 つの仮定) |
欠勤期間 | 10 日間程度 (被害想定作成上の1 つの仮定) |
到達時間 | 海外で発生してから日本到達まで2~4 週間程度 (被害想定作成上の1 つの仮定) |
流行の波 | 流行は8 週間程度 ・国の介入により変わる可能性あり(流行のピークがなだらかで期間が長引くなど) ・地域により、流行のピークの大きさや時期に差が生じる可能性ある |
ここから、色んなことが読み取れます。
まず第一に、地震との比較で言えば、パンデミックはやや、時間に余裕があるかもしれないということです。
この想定では、海外で発生してから日本に到達するまでに最低でも2週間あります。もちろん、もっと早く日本に入ってきたり、あまりなさそうとはいえ、日本が最初の発生地になったりする可能性もゼロではないでしょうが、それでも、突然襲ってくる地震に比べれば、対応する時間は十分すぎるほどあります。これは地震にはない大きな救いです。
一方で、 地震に比べて過酷なのは、被害が国民の25%にも及び、流行が8週間も続くことです。罹患すると10日間は欠勤し、ピーク時には欠勤率は40%に達します。4割の人たちが仕事を休んでしまうのです。当然、社会の機能はマヒしてしまいます。
「ガイドライン」はその最後に、 「新型インフルエンザ発生時の社会経済状況の想定」と題した別文書を含んでいます。そこには、社会の機能がどうマヒしていくのかが、順を追って説明されています。
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