栄養の必要最低限とは(「日本人の食事摂取基準」より) [第4章「厚労省の食事摂取基準を読む」]
カロリーの次に考えなければいけないのは、栄養素です。
農水省の備蓄ガイドで推奨されているメニューは、見てきたとおり、バラエティに飛んでいて栄養素にも配慮された内容となっています。バランスよく様々な食品を備蓄するという考えに立っています。
しかし、「家族2か月分を最低の量で賄う」という当ブログの目標のためには、食料の多様性は犠牲にせざるを得ません。多種多様な缶詰、レトルト食品、乾物などを大量に買い込んで貯めこんでおくコストとスペースは、普通の家庭にはありません。栄養のバランスをとれる最小限の食品の組み合わせを見つけ出さなければなりません。
そこで、まずは必要な栄養素の量を探りたいと思います。
厚生労働省が2009年5月に公表した「日本人の食事摂取基準」(2010年版)http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/s0529-4.htmlは、「健康な個人または集団を対象として、国民の健康の維持・増進、生活習慣病の予防を目的とし、エネルギー及び各栄養素の摂取量の基準を示す」ために作られました。5年置きに更新されていて、今回の基準は「2010年度から2014年度まで」が「使用期間」とされています。
この食料摂取基準は非常に詳しくて、エネルギーや栄養素などの摂取必要量が、性別、年齢などの項目ごとに数値化されています。例えば、カロリーの項目では、必要量が以下のような表にまとめられています。
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エネルギーの食事摂取基準:推定エネルギー必要量(kcal/日)1
「日本人の食事摂取基準」(2010年版)
性 別 | 男 性 | 女 性 | ||||
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身体活動レベル | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ |
0~5(月) | ― | 550 | ― | ― | 500 | ― |
6~8(月) | ― | 650 | ― | ― | 600 | ― |
9~11(月) | ― | 700 | ― | ― | 650 | ― |
1~2(歳) | ― | 1,000 | ― | ― | 900 | ― |
3~5(歳) | ― | 1,300 | ― | ― | 1,250 | ― |
6~7(歳) | 1,350 | 1,550 | 1,700 | 1,250 | 1,450 | 1,650 |
8~9(歳) | 1,600 | 1,800 | 2,050 | 1,500 | 1,700 | 1,900 |
10~11(歳) | 1,950 | 2,250 | 2,500 | 1,750 | 2,000 | 2,250 |
12~14(歳) | 2,200 | 2,500 | 2,750 | 2,000 | 2,250 | 2,550 |
15~17(歳) | 2,450 | 2,750 | 3,100 | 2,000 | 2,250 | 2,500 |
18~29(歳) | 2,250 | 2,650 | 3,000 | 1,700 | 1,950 | 2,250 |
30~49(歳) | 2,300 | 2,650 | 3,050 | 1,750 | 2,000 | 2,300 |
50~69(歳) | 2,100 | 2,450 | 2,800 | 1,650 | 1,950 | 2,200 |
70以上(歳)2 | 1,850 | 2,200 | 2,500 | 1,450 | 1,700 | 2,000 |
2 主として、70~75 歳ならびに自由な生活を営んでいる対象者に基づく報告から算定した。
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本日現在の筆者の家族構成は30-49歳の男女(夫婦)と15-17歳の男女(子供)の4人です。2か月という長期の備蓄は、自宅に籠城してじっとしているパンデミックケースを想定していますから、身体活動レベルは「Ⅰ」が適当です。すると、合計の必要カロリーは「2300+1750+2450+2000=8500」です。一人当たり一日約2100キロカロリーが目安となります。
この表を詳しく見ていただくとわかるのですが、筆者の家族構成は子供のいる家族としては、カロリー量が最大値となる組み合わせです。なぜなら、男女とも、15-17歳、30-49歳の順に必要カロリーが多いからです。18-29歳のころ、必要カロリーは一度落ち込むのです。
あと2年以内に筆者の家族は4人全員が、それぞれ次の年齢層に移ります。そうなると、必要量は「2100+1650+2250+1700=7700」で、一人当たりでは約1900キロカロリーまで低下します。子供たちはさらにその次の年齢層の間に独立したり結婚したりするでしょうから、そうなれば、夫婦だけのことを考えればよくなり、必要カロリー量はもっと減ります。
前回のブログで必要カロリーは1800~2000キロカロリーと記しましたが、厚労省のデータからもこれが裏付けられたと思っています。
次回以降、 たんぱく質、脂質、炭水化物、カリウム、カルシウム、マグネシウム・・・・・などの順に、必要量を調べていきます。
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